在宅で療養している方とその家族を支える仕組みとして注目されているのが「在宅レスパイト」です。
しかし、実際に利用を考えたときに「自分たちは対象になるの?」「どんな人が利用できるの?」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、在宅レスパイトの対象者と利用条件について詳しく解説します。宮城県の制度を例に挙げますが、全国の制度でも共通する部分が多いため参考にしてください。

在宅レスパイトとは?
「レスパイト(Respite)」とは、一時的な休息を意味する言葉です。
在宅レスパイトは、在宅で療養している患者さんを一時的に医療機関や施設で受け入れ、介護する家族に休養の時間を提供する制度です。
この制度の大きな目的は、家族の介護負担を軽減し、在宅療養を長く続けられるようにすることです。
在宅レスパイトの対象者
宮城県が定める「在宅レスパイト事業」の対象者は次のとおりです。
- 在宅で療養している難病患者
- 難病指定を受けている方
- 難病医療費助成の対象となる疾患を抱えている方
- 在宅で生活している障害のある方
- 身体障害、知的障害、発達障害など
- 障害者手帳を所持している方、または障害福祉サービスの対象となっている方
- 医療的ケア児(子ども)
- 吸引・経管栄養・人工呼吸器など、日常的に医療的な支援を必要とする子ども
- 医師の診断や医療的ケアが必要とされる意見書がある場合
利用条件のポイント
在宅レスパイトを利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。
1. 在宅療養を継続していること
対象者は、病院や施設に長期入所していないことが前提です。普段は自宅で生活しており、一時的にレスパイトを利用する形になります。
2. 主治医の意見や診断があること
患者さんの病状や医療的ケアの必要性を踏まえて、主治医の意見書や診断書が必要になる場合があります。
これにより、受け入れ先の施設で適切な対応が可能かどうか判断されます。
3. 施設・医療機関が受け入れ可能であること
レスパイトはすべての病院や施設で受けられるわけではありません。
- 医療的ケアが多い方は医療機関での短期入院
- 比較的安定している方はショートステイ施設
など、対象者の状態によって利用できる場所が異なります。
4. 市町村窓口での申込み・調整が必要
利用にあたっては、市町村の福祉課や相談支援事業所での手続きが必要です。事前に相談して調整を行わないと、当日いきなり利用できるわけではない点に注意が必要です。
在宅レスパイトを利用できるケース例
ケース1:ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さん
在宅で人工呼吸器を使用して生活している方。家族の休養や急な外出のために、医療機関での短期入院を利用。
ケース2:重度知的障害を持つ方
日常生活の介助が必要。家族のリフレッシュや冠婚葬祭のために、福祉施設でのショートステイを利用。
ケース3:医療的ケア児を育てる家庭
経管栄養や吸引が日常的に必要な子ども。母親の体調不良のため、数日間レスパイトを利用し、安心して療養と育児を継続。
在宅レスパイト利用のメリット
対象者に当てはまる方が制度を利用すると、次のようなメリットがあります。
- 家族が安心して休める
- 患者本人も適切な環境でケアを受けられる
- 在宅療養を無理なく継続できる
- 急な事情(冠婚葬祭・家族の体調不良)にも対応できる
まとめ
在宅レスパイトの対象者は、
- 在宅で療養している難病患者
- 在宅で生活している障害のある方
- 医療的ケア児
が中心となります。
ただし、利用には主治医の意見書や市町村窓口での申込みが必要であり、受け入れ可能な施設との調整も欠かせません。
「自分は対象になるのだろうか?」と迷った場合は、まずは主治医や市町村の福祉窓口に相談することが大切です。
制度をうまく活用することで、介護する家族も患者さん自身も安心して在宅療養を続けることができます。
詳しくはこちら
宮城県公式サイト:在宅レスパイト事業
採用情報はこちら
https://hitoreha.com/recruit/
第1回記事 : 宮城県の「在宅レスパイト」とは? 〜在宅療養を支える家族へのサポート〜
https://universal-sitter.com/zaitaku-respite/
第2回記事 : 在宅レスパイトとは?宮城県で利用できる制度の基本と背景
https://universal-sitter.com/zaitaku-respite2/
第3回記事 : 宮城在宅レスパイトの利用方法を徹底解説!申込みから利用までの流れ
https://universal-sitter.com/zaitaku-respait3/